ボンボニエール:皇室の菓子器と、幸せが宿る小さな器のはなし
お土産には、「もの」であるものと、「物語」がたまたま器のかたちをしているものとがあります。
ボンボニエールは、後者です。手のひらにのるほど小さな蓋つきの器で、入るのはお菓子がほんの少し。百年以上にわたって皇室の慶事に寄り添ってきた品でありながら、日本を訪れる人のほとんどが、その名前を知りません。
はじまりは、明治の宮中晩餐会
名前はフランス語です。そして最初は、発想もそうでした。
明治20年代、日本が世界に開かれていくなかで、皇室は外国からの賓客を招いて西洋式の饗宴を催すようになります。そうした席には引き出物が要ります。その答えがボンボニエールでした——ひとりひとりが持ち帰れる、美しい小さな菓子器です。
借りものとして始まった習慣は、やがて徹底して日本のものになりました。銀、陶磁、そして漆。扇、鼓、貝、菊——意味を持つかたちに作られ、中身もフランスのボンボンではなく、金平糖になっていきます。
なぜ、金平糖なのか
ここが、静かに心を打つところです。
金平糖は、急いで作れません。熱した釜のなかで小さな核を転がしながら、糖蜜を少しずつ、何日もかけてかけ続ける。そうしてようやく、あの角がゆっくりと生まれます。近道はありません。
その辛抱強い日々の営みが子育てに通じるとされ、金平糖は縁起物になりました。そして、それを納める器もまた——幸せが宿る器と呼ばれるようになったのです。
今も、贈られています
ボンボニエールは今も皇室の慶事に欠かせません。そして、すっかり日本の暮らしのなかにも入ってきました。結婚式の引き出物として、節目のお祝いとして、めでたい日のしるしとして。
キーホルダーより、もう少し奥行きのある贈りものを探しているなら、これはかなり良い答えだと思います。小さく、軽く、漆なら旅の鞄でも割れず、そして一分で話せる物語がついてきます。
良いものを探すなら
山田平安堂は、1919年(大正8年)に日本橋で創業し、現在は代官山に本店を構える漆器専門店。宮内庁御用達として知られ、外務省や各国大使館にも漆器を納めています。
そのボンボニエールは、春秋・松竹梅・宝尽くしといった日本の吉祥文様をまとっています。価格は5,500円ほど(掲載時点)。
ボンボニエールは、ほかの漆器の産地でも作られています。なかでも手に入れやすいのが紀州塗り——和歌山の漆器です。三好漆器の黒地にさくらを描いたものは、Amazonから注文できます。宮内庁御用達の器ほど格式ばらないぶん、気負わずに贈れます。
ひとつだけ、正直に
ボンボニエールは、小さいです。それこそがこの器の本質なのですが、写真だけを見ると鉢のように見えてしまうことがあるので、はっきり書いておきます。これは記念の品であり贈りものであって、普段づかいの食器ではありません。
同じ山田平安堂で「毎日使えるもの」をお探しなら、飛騨春慶塗のボウルのほうが向いています。
この器と出会った場所
ボンボニエールのことを知ったのは、皇居 新年一般参賀の記事を書いていたときでした。毎年1月2日、皇居の門が誰にでも開かれる、あの朝のことです。お正月に東京にいらっしゃるなら、この二つはとてもよく響き合います。
こんな方へ
小さくて、でも中身のある日本のものを持ち帰りたい方へ。工芸を愛する誰かへの贈りものにも、自分のための記念にも。ほとんど重さがなく、旅にも耐えて、そして——日本では多くの人が知っていて、国の外ではほとんど誰も知らない、辛抱と幸運の物語がついてきます。
注記:価格・文様・在庫は変わることがあります。ご注文前に最新の商品ページをご確認ください。
アフィリエイト情報:この記事にはAmazonアソシエイトおよび楽天アフィリエイトのリンクが含まれています。Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています(購入者に追加費用はかかりません)。リンク経由のご購入は、追加費用なしでこのブログを支援することになります。