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岡本太郎記念館:表参道の一本裏で、芸術は爆発している
文化

岡本太郎記念館:表参道の一本裏で、芸術は爆発している

表参道は、フラッグシップ店の通りです。ガラスとコンクリート、静かな店員さん、計算された照明。そこから一本入って一分ほど歩くと、ブロック積みの壁に不思議な曲面の屋根をのせた低い建物が、植物に半分のみこまれるようにして建っています。庭からは、白い彫刻が歩道のほうへ身を乗り出しています。

岡本太郎記念館 です。ここは、彼の家でした。

「芸術は爆発だ」

岡本太郎(1911–1996)。大阪万博の太陽の塔、渋谷駅の連絡通路にある巨大な壁画《明日の神話》。名前を知らなくても、作品のほうはたいてい見ています。

1930年代のパリで学び、帰国して、そのあとの人生をずっと——絵で、彫刻で、テレビで——「芸術はうまくあってはいけない、きれいであってはいけない、心地よくあってはいけない」と言い続けた人です。

建物そのものが作品

太郎がここで暮らし、制作したのは 1954年から、1996年に84歳で亡くなるまで。戦前、この場所は岡本一平・かの子・太郎の一家が長く暮らした青山高樹町三番地でした。旧居は戦災で焼失しています。

戦後、友人の坂倉準三——ル・コルビュジエの愛弟子です——の設計でアトリエが建てられました。ブロックを積んだ壁の上に、凸レンズ形の屋根。当時、名建築として話題になった建物です。

大きな施設ではありません。一時間あればひととおり見られます。それでも、ここにあるもののほとんどが、この部屋から生まれています。

館内の台に立つ太陽の塔の模型。奥にはミュージアムショップ

一階のアトリエは、筆も絵の具も当時のまま残されています。二階は企画展示室で、内容は数か月ごとに入れ替わります。

庭に肩を寄せ合って並ぶ白い彫刻群。奥はタイルの壁画

そして庭。白い彫刻が、何かを待っている小さな群衆のように立ち並んでいます。表参道の裏で出会う光景としては、かなり異様です。

行く前に知っておきたいこと

もともと人が暮らしていた小さな建物なので、驚かれる決まりがいくつかあります。

  • 靴を脱いで上がります。 記念館は「お靴を脱いでお上がりいただく施設」です。靴下でお出かけください。
  • 館内はベビーカーが使えません。 コインロッカーも荷物預かりもありません。身軽に。
  • 飲食物の持ち込みは不可です。
  • 駐車場・駐輪場はありません。
  • バリアフリー対応の設備は整っていません。 記念館自身がそう明記しています。
  • 作品には「手を触れないでください」の掲示があります。掲示に従い、声のトーンも落として。部屋が小さいので、話し声はよく通ります。

いちばんの意外性は、ショップ

東京の美術館のショップはずいぶん見てきましたが、ここは違います。時間を取る価値があります。

ここの品物は、ほとんどネットで買えません。 スタッフの方にうかがったところ、オンラインショップは一部の受注生産のみを扱っているとのことでした。つまり棚に並んでいるものは、実際にはこの建物に立たないと買えないものです。お土産としては、これはかなり貴重なことだと思います。

私が買ったのは、太郎の言葉そのままの「人生、即、芸術。」のマグネットと、ドローイングのハンカチでした。

「人生、即、芸術。」の文字が入った、緑の人物像をかたどったマグネット

片隅のガチャガチャ

ショップの片隅に、ガチャガチャが積まれています。これがふつうのガチャではありません。私が行ったときは、TAROMAN(岡本太郎の作品を1970年代の特撮ヒーロー番組に見立てたNHKの怪作)のフィギュアマスコットが500円TARO缶バッチ400円でした。

岡本太郎の顔のモチーフで覆われたガチャガチャ。TAROMANのフィギュアと缶バッチが入っている

100円玉を用意していってください。 カードやICは使えません。中身は入れ替わるので、私が引いたものと同じとは限りません。

ひとつだけ、大事な注意

検索する前に、これだけは読んでおいてください。「岡本太郎」の美術館は二つあります

  • 岡本太郎記念館(東京都港区南青山)— この記事の場所。本人の家。
  • 川崎市岡本太郎美術館(神奈川県川崎市多摩区・生田緑地内)— まったく別の、市立の大きな美術館。

別の施設で、公式サイトも別です。そしていま、もうひとつ理由があります。川崎市岡本太郎美術館は、改修工事のため2026年3月30日から2029年3月末(予定)まで、展示室での展覧会を休止しています。作品を見るつもりで生田緑地まで行くと、空振りになります。

「岡本太郎を見に行こう」と思ったら、いまは南青山です。

基本情報

  • 名称: 岡本太郎記念館
  • 住所: 〒107-0062 東京都港区南青山6-1-19
  • 開館: 10:00〜18:00(最終入館17:30)
  • 休館: 火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12/28〜1/4)、保守点検日
  • 観覧料: 一般900円/高校生・大学生700円(学生証の提示が必要)/中学生以下無料
  • 所要: 1時間ほど+ショップの時間
  • アクセス: 東京メトロ(銀座線・千代田線・半蔵門線)表参道駅より徒歩8分。都営バス渋88系統「南青山六丁目」下車徒歩2分

半日にするなら

根津美術館 も、同じ表参道駅から徒歩8分ほど。静かな青山の、反対側の端にあります。この二つは、組み合わせるとやけに相性がいい。小さな家で一時間、色に殴られてから、丘の庭と東アジアの古美術へ。うるさい、そして、静か。

太郎を持ち帰る

作品集『岡本藝術』

家を見て、ほかの作品も見たくなったら。『岡本藝術』(編著:平野暁臣/小学館クリエイティブ/2015年)をおすすめします。編者の平野暁臣さんは、この岡本太郎記念館の館長です。

パリ時代から晩年まで、絵画・彫刻・雑誌の表紙絵・プロダクトまで約400点を年代順に収録。作品が変わっていく様子が、順に追えます。A4判208ページ、執筆時点で3,190円(税込)

海外の方への贈り物にもよい一冊です。版元によれば、作品名と解説文には英訳が併記されています

→ この本については別記事に詳しく書きました:館長が編んだ一冊:『岡本藝術』

意外と、持ち帰れるもの

太郎は鯉のぼりもデザインしています。庭園用3mのミュージアム限定品です。

3メートルと聞くと身構えますが、鯉のぼりは薄い布で、たたんで保管するもの。大きさのわりに荷物にはなりません。ただし、これはお土産というより、完全に本気で欲しい人のためのものです。「こんなものが存在するのか」と知っていただくために置いておきます。

岡本太郎 鯉のぼり(岡本太郎ミュージアム限定品・庭園用3m)

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こんな人におすすめ

表参道を歩いていて、「もう少し磨かれていないものはないのか」と思ったことがある方に。900円と一時間です。帰りには、家に帰ってからネットで注文し直せないものが鞄に入っています。運が良ければ、小さなヒーローも一緒に。

※ 開館時間・料金・企画展・ショップの在庫は変わります。おでかけ前に公式サイト(taro-okamoto.or.jp)をご確認ください。

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