築地にいた人たちの写真集:最後の二年間
豊洲でマグロのせりを見ると、たいてい同じことを思います。きれいすぎる、と。
床は明るく、通路は広く、ガラス越しに見下ろす見学デッキがある。安全で、清潔で、よくできた施設です。そして、そこには築地にあった雑然としたものが、もうありません。
その雑然としたもののほうを見たい方に、一冊あります。
『築地市場の人々 最後の二年間を撮る』
『築地市場の人々 最後の二年間を撮る』(山下倫一/国書刊行会)。2022年5月20日発行、A4判・184ページ、4,620円(税込)。ISBNは978-4-336-07369-3です。
タイトルの通り、築地市場が閉場するまでの2年間を撮った写真集です。版元によれば、著者はこの2年間で約70回市場に通ったといいます。
写っているのは、魚ではありません
この本のいちばん大事なところは、被写体が人であることです。
マグロや魚市場の写真集はほかにもあります。でもこの本が記録したのは、版元の言葉を借りれば、市場で働く人たちの「気迫、熱気、雰囲気、人と人とのつながり、そして活気」のほうでした。著者は、築地で働く人たちが自分の仕事に誇りと自信を持っていたことを書いています。
- 仲卸の人が、マグロの尾を切って断面を見る手つき
- せりのあとの、床の濡れ方
- ターレが行き交う通路の狭さ
- 声と、湯気と、長靴
豊洲の見学デッキから見ているだけでは、いちばん遠いところにあるものです。
→ 関連記事:豊洲市場のマグロせり見学:無料の抽選に申し込む方法と、外れたときの手
A4判である、ということ
この本はA4判です。大きいです。
写真集としては当然の判型なのですが、お土産として持ち帰るとなると、ここは正直にお伝えしておきます。184ページのA4判は、それなりの重さと厚みがあります。機内持ち込みの手荷物に入れるより、スーツケースの底に平らに寝かせるのが現実的です。
そのぶん、写真は大きく見られます。人の表情が写っている写真集を小さい判型で作ってしまうと、意味がなくなります。この本がA4なのは、そういうことだと思います。
お土産として、よくできている理由
- もう二度と撮れない写真 — 築地市場は2018年10月に閉場しました。この2年間は、やり直せません
- 日本の外ではまず手に入らない — 国内向けの写真集です
- 豊洲を見たあとに効く — 「新しくなった場所」を見た人ほど、前の姿が気になります
- 言葉があまり要らない — 写真集なので、日本語が読めなくても大半は伝わります
ひとつだけ、正直なところ
本文(キャプション・解説)は日本語のみで、英語版はありません。ただし写真集なので、読めなくても困る場面は多くないはずです。
もうひとつ、4,620円は写真集としては標準的ですが、お土産としては安くありません。ここは「1冊だけ選ぶなら」という買い方が向いています。
価格と買える場所
写真集の棚がしっかりしている書店なら置いていることがあります。新宿の紀伊國屋書店、銀座の蔦屋書店、渋谷のパルコにある書店などが探しやすいと思います。
滞在先のホテルへ届ける方法
Amazon Japanや楽天から、あなたの滞在する東京のホテルへ直接商品を届けられます。帰国の数日前に注文して、フロントで受け取るのがおすすめ。注文時の配送先にはホテルの住所とホテル名、予約と同じ宿泊者名を入力してください。
- 事前に滞在ホテルに確認してください(宿泊者宛の荷物の受け取り可否)
- Amazon.co.jpの英語表示切替は画面の右上にあります。楽天市場は日本語のサイトなので、読みにくい場合はブラウザの翻訳機能をお使いください
築地は、まだあります
念のためですが、築地の場外市場は今も営業しています。閉場したのは場内の卸売市場のほうです。
豊洲でせりを見た朝、そのまま築地へ移動して場外で朝ごはんを食べる——という順路は、今でも成立します。そのあとでこの本を開くと、同じ地名の、違う時間を見ることになります。
こんな人におすすめ
豊洲を見て「もっと荒っぽい場所を想像していた」と思った方に。それから、市場そのものより、そこで働く人に興味がある方に。魚の写真集ではなく、仕事の写真集です。
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