アドミュージアム東京:400年分の広告が、無料で見られる
冗談のように聞こえて、冗談ではない一文を。東京でいちばん面白い博物館のひとつは、広告の博物館で、しかも無料です。
アドミュージアム東京は、カレッタ汐留の地下にあります。有名な絵画もなく、行列もなく、海外からのお客さんもほとんどいません。あるのは、日本人が四百年にわたって「買ってください」と言い続けてきた記録。これが、国の移り変わりを眺めるのに、なかなか良い方法なのです。
広告が、なぜ博物館になるのか
たいていの歴史博物館は、「力のある人が残したかったもの」を見せてくれます。広告が見せるのは、まったく別のもの——ふつうの人が何を欲しがったか、そして何を欲しいと思わされたか、です。
壁を追っていくと、それが順に見えてきます。
- 江戸 — 呉服屋や薬屋の引札(ひきふだ)。木版で刷られ、使われた技術も、ときには絵師も、世界中の美術館に架かる浮世絵と同じでした。
- 明治・大正 — ポスターの登場。西洋の活字、百貨店、そして「商品にも人格がある」という近代的な発想。
- 昭和 — 高度成長、テレビCM、日本中が今でも歌えるあのジングル。
- 現在 — 画面、キャンペーン、そして今年わたしたちが売られているもの。
つまりこれは、売り物だけで語られた日本の社会史なのです。

図書館があります
ここには、誰でも使える図書館もあります。広告年鑑、専門書、アーカイブ。デザイン・マーケティング・出版の仕事をされている方なら、ここから出られなくなるかもしれません。東京で「ふらりと入れる専門図書館」は、そう多くありません。
行く前に、曜日の確認を
開館のパターンが少し変わっていて、ここでつまずく人が多いので、はっきり書いておきます。
- 開館: 火曜〜土曜、12:00〜18:00
- 休館: 日曜・月曜・祝日
- 入館料: 無料
日曜が休みというのは東京の博物館では珍しく、しかも旅行者がいちばん空いている曜日です。開館時間や展示スケジュールは変わりますので、お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
半日にするなら
館内はじっくり見ても一時間ほど。だからこそ、午後の「後半」にちょうどいいのです。
同じ建物の上には、カレッタ汐留・46階の無料展望スペースがあります。地上200m、チケット不要、しかも駅の地下からガラスのエレベーターで直通。湾を眺めて、窓際で平日ランチをとって、それから地下へ降りて広告を見る。
そしてそのあいだ、1〜3階には電通四季劇場[海]。眺めと、博物館と、ミュージカル。一歩も外に出ずに、すべて揃います。
持ち帰れるもの
入館無料なので、記念のチケットも残りません。代わりに、あの面白さを建物の外へ持ち出せるものを三つ。
昭和のブリキ看板
昭和の広告——かつて日本中の店先に掛かっていた、明るくて、率直で、妙に陽気なホーロー・ブリキの看板。今ではあれ自体がひとつのデザイン言語になりました。複製のブリキ看板はセットで売られていて、壁に何枚か並べると、これが驚くほど効きます。安く、平たく、そして一目で日本と分かる。
文字に心を持っていかれたなら
この博物館を出るとき、多くの人が考えているのは文字のことです。日本の広告は三種類の文字を同時に扱わねばならず、その結果——とくに手描きのタイトル文字は——とんでもないことになっています。
『タイトル文字のデザイン』は、まさにそこを扱った一冊。組み方、アレンジ、オリジナルの作り方まで、実例で見せてくれます。
展示の続きを、家で
もう一冊、これはかなり本気の方向けに。『開封・戦後日本の印刷広告 ——『プレスアルト』同梱広告傑作選〈1949-1977〉』。戦後の広告資料誌『プレスアルト』に実物のまま同梱されていた印刷広告を集めた本です。展示ケースの中にあるようなものが、そのまま手元で開けます。
(※ 価格・在庫は変動します。表示は掲載時点のものです。)
基本情報
- 名称: アドミュージアム東京
- 場所: カレッタ汐留 地下(東京都港区東新橋1-8-2)
- 入館料: 無料
- 開館: 12:00〜18:00(火〜土)
- 休館: 日曜・月曜・祝日
- 最寄り駅: 汐留(都営大江戸線・ゆりかもめ)/新橋からも徒歩圏
- 所要: 1時間ほど(図書館を使うならもっと)
- 公式サイト: admt.jp
こんな方へ
デザイン・マーケティング・出版に関わる方——一時間があっという間に消えます。日本が四百年、自分自身に何をどう売ってきたのかに興味のある方。そして、雨の火曜の午後に汐留で予定を失った方へ。正直なところ、多くの人はそうしてここを見つけ、そして誰も後悔していません。
注記:開館日・時間・展示内容は変わることがあります。お出かけ前に公式サイトをご確認ください。
アフィリエイト情報:この記事にはAmazonアソシエイトおよび楽天市場のアフィリエイトリンクが含まれています。リンク経由のご購入は、追加費用なしでこのブログを支援することになります。