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国会議事堂の中へ:参議院の無料見学ツアー
東京

国会議事堂の中へ:参議院の無料見学ツアー

国会議事堂の前を、多くの人は通り過ぎていきます。車窓から見上げる、灰色の厳めしい輪郭。

外から見た国会議事堂。階段状の中央塔が曇り空に立ち上がる

けれど実は、平日ならほぼ毎日、ガイド付きで、無料で中を歩けるのです。そして、あの素っ気ない石の壁の向こうに待っているのは、日本でも指折りの豪奢な内装でした。

ほとんどが「日本」でできた建物

国会議事堂の完成は1936年(昭和11年)。着工から17年を要しました。当時は国内で最も高い建物で、中央塔は約65メートル。階段状に絞り込まれたピラミッド形の頂は、東京のどの建物にも似ていません。

けれど、この建物の時代をいちばんよく物語るのは、その材料です。ほぼすべてが国産大理石は約37種類、木材は24種類が、全国から集められました。近代的な公共建築なら輸入の石材で仕上げるのが当たり前だった時代に、日本は自国の議事堂を、自国そのもので建てたのです。結果として、この建物は壁や床や扉に静かに並べられた、一種の「日本の標本集」になりました。

それを最も感じるのは廊下です。淡い色の大理石の柱、ときおり石の中に見える化石、そして外の喧騒が嘘のような静けさ。

小さな石片を敷き詰めた、唐草模様のモザイクの床 葉と唐草を鋳出した青銅の通気口。大理石の壁に埋め込まれている

ぜひ足元を見て、それから壁を見てください。床はモザイク——何千もの小さな石が、大きな曲線模様を描いています。そして通気口さえ、青銅で花や葉のかたちに鋳造されている。ここには「ただの機能部品」として扱われたものが、ひとつもありません。

中央広間

中央塔の真下には、中央広間が開けています。アーチ、壁画、ステンドグラスが、建物の高さいっぱいに立ち上がる空間。その周囲には、明治の政治家——伊藤博文、大隈重信、板垣退助——の銅像が立っています。

アーチとステンドグラス、壁画に囲まれた中央広間

四隅があって、銅像は三体。ガイドさんがよく話してくれるのが、四つ目の台座が空のままであること。理由には諸説ありますが、いちばん素敵な説は「政治に完成はない。四人目は、これから現れる誰かのために空けてある」というものです。

参議院本会議場

ツアーの静かな山場が、傍聴席から見下ろす本会議場です。深い色の磨かれた木、赤い絨毯。そして何より、天井が一面のステンドグラス。流れるような唐草模様を透かして、三階分の高さからやわらかな陽が落ちてきます。

傍聴席から見下ろす参議院本会議場と、ステンドグラスの天井

そして、余裕があればぜひ細部を。目の前の手すりは、葉や貝やリボンを手彫りしたもの。カーテンは金糸を織り込み、重い房飾りで仕上げられ、その上の壁は緑の布と漆喰の額縁で飾られています。今、同じものを作ってくれと頼むのは、まず不可能でしょう。

議場の、葉と唐草を手彫りした木の手すり 議場上部の壁とステンドグラスの天井、緑の垂れ布 金と朱のカーテンと、重い絹の房飾りのアップ

天皇陛下のお席の椅子

ほとんどの人が足を止めるものが、ひとつあります。ガラスケースの中の、深紅の張りと金色の彫刻の椅子。獅子と鳳凰が彫られ、金の菊の紋章を掲げています。

菊の紋章を掲げた、深紅の張りの金色の儀式用椅子

国会の開会式が行われるのは参議院。そこには天皇陛下がご臨席になります。だから議場の正面中央には、そのためのお席が設けられています。この椅子は、かつての時代のその席として遺されたもの。明治・大正の工芸の水準を、今に伝える一脚です。

無料ツアーの参加のしかた

ここが大切です。手続き自体は簡単ですが、時間には厳格です。

一日8回の開始時刻が記された、参観のご案内の看板

  • 無料。所要は約60分。 そして一度始まると、途中で退出することはできません。お手洗いなどは、必ず先に済ませておいてください。
  • ツアーは一日8回、毎正時に出発します(9時・10時・11時・12時・13時・14時・15時・16時)。少人数なら事前予約は不要ですが、当日その場で申込書類に記入し、開始時刻の5分前までに申込みと手荷物検査を終える必要があります。15分前到着なら安心、定刻到着では間に合いません。
  • 身分証明書をお持ちください。 日本の方はマイナンバーカード・運転免許証など、海外からの方はパスポートを。
  • 衆議院の見学は別のツアーです。 受付も申込みも別々なので、両方ご覧になりたい場合は、二回に分けて計画してください。

補足も少しだけ。ツアーは平日(祝日・年末年始は休み)に行われ、10名以上の団体は事前予約が必要です。館内の撮影は決められた場所のみ可能ですので、ガイドさんの案内に必ず従ってください。

スーツケースは持っていかないほうがいい

地方から出てきて、帰りの新幹線までのあいだに寄る——という方は、ここだけ先に考えておいてください。

金属探知機を通る手荷物検査があり、そのあと60分間、途中で退出できません。小さなリュック程度なら問題ありませんが、大きなスーツケースはこの3つすべてと相性が悪く、見学者用のクロークはありません

国会議事堂前駅にはコインロッカーがあり、スーツケースが入る大型のものも置かれています。ただし数に限りがあり、混む日は空いていないこともあります。ツアー開始15分前に、それに気づくのはつらい。

荷物がある日は、ロッカーの空きに賭けるより、預け先を先に押さえておくほうが確実です。Radical Storage は、街のカフェやホテルなどの提携先に荷物を預けられるサービス。事前に場所を予約して、荷物を置き、あとで受け取ります。料金は荷物1個あたりの一日単位です。

駅の近くの荷物預かり所を事前に予約する

Radical Storageで探す →

サイトは日本語に対応しています。英語で開いた場合は言語切り替えから日本語へ(radicalstorage.com/ja/ でも日本語ページが開きます)。料金がユーロ建てで表示されることがあります。

手ぶら、または小さなカバンだけなら、以上は気にしなくて大丈夫です。そのまま入れます。

基本情報

  • 名称: 国会議事堂・参議院参観
  • 料金: 無料
  • 所要時間: 約60分(途中退出不可)
  • 開始時刻: 一日8回、9:00〜16:00の毎正時(平日)
  • 予約: 少人数は不要・当日受付/10名以上は事前予約
  • 持ち物: 身分証明書(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)
  • 受付: 参議院別館。「参観(見学)受付」の案内に従って進みます
  • 最寄り駅: 国会議事堂前駅(丸ノ内線・千代田線)、永田町駅(有楽町線・半蔵門線・南北線)

こんな方へ

建築や工芸が好きな方、そして「本当に物事が決まる場所」に立ってみたい方へ。費用はかからず、時間は一時間。赤坂や霞が関からも歩ける距離ですから、東京の午前を、ひとつ確かな記憶にしてくれるはずです。

注記:開催日時や手続きは、国会の会期などにより変更されることがあります。お出かけ前に参議院の公式サイトでご確認ください。

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